2013年12月18日

長崎の音 長崎のサウンドスケープ

皆さんは「長崎の音といえば?」と聞かれたら何と答えますか?


Oura Cathedral for Brog.JPG

- ・港町ならではの波と船の汽笛の音。


- ・数百年の歴史をもつカトリック教会の鐘の音。


- ・市内を走る市民の足、路面電車の音。


- ・長崎を代表する祭り、おくんちのシャギリや蛇踊りの音。


- ・爆竹と鐘で送る、精霊流しの音。


(写真は祈念坂より、後方から見る大浦天主堂)

こういった長崎ならではの個性的な音の数々が、四方を山に囲まれた地形の中で反響し混ざり合ったもの…それが長崎のサウンドスケープ(音の風景)です。

長崎のサウンドスケープを考える上で大変役に立つ資料があります。
1992年に吉岡宣孝氏を塾長とする長崎伝習所/長崎・サウンドデザイン塾によって発行された、「ながさきの風景・音と耳と心/’92市民推薦『ながさき・いい音の風景20選』」というパンフレットです。
身の周りの環境に意識を向け、自分たちの住む街をより深く知ってもらうことを目的に、市民から募った「長崎市内の音名所」から20ヶ所が選定されています。
以下、その20ヶ所を引用してみると・・・


長崎のいい音風景20


身近な暮らしにある広場の音

(1)大きな木のある境内の音 - 山王神社(坂本町)
(2)週末の広場の音 - 市営陸上競技場(松山町)


長崎の音を大切にしたい場所

(3)行き交う船の出入りと鐘の音 - 神の島(聖母の巌・どんく岩)(神の島町)
(4)夕暮れの海岸の音 - 旭町海岸通り(旭町)
(5)フェリーの汽笛の音 - 大波止ターミナル前、汽船発着所(元船町)
(6)夜の街の音が聞こえる丘 - 鍋冠山(出雲町)
(7)海が見える祈りの里 - 大山教会周辺(大山町)
(8)早朝の漁港の賑わう音 - 茂木漁港(茂木町)
(9)静かに明けゆく長崎の音 - 南山手2番地(南山手町)
(10)「ナガサキ」の音が聞こえる展望台 - 風頭山展望台(伊良林町)


自然環境を大切にしたい場所

(11)街の中に残された滝の音 - 鳴滝町、川の合流点(鳴滝町)
(12)蘇る水辺の音 - 小々倉水源地(上戸町)
(13)静かな郊外の街の音 - 醍醐の滝(三川町)
(14)早朝の森の静けさ - 市民の森(茂木町周辺)


都市の中の安らぎの場所

(15)水を活かした庭園の音 - 料亭花月(春雨の音) (丸山町)
(16)騒音の中で見つけた音 - 馬町教会かいわい(馬町)
(17)雨上がりに聞こえる水の音 - 出雲町〜上田町間の坂道(出雲町)


記憶の音の風景

(18)夏の音の風景 - 原爆公園付近(平野町)
(19)記憶の中の電車の音 - 市内を走るチンチン電車(市内全域)
(20)失われた音の風景 - 中島川の桜橋〜八幡橋(カルルス) (新中川町)



いかがですか?
長崎にいる(いた)人なら誰もが知ってる身近な音から、聞いたこともない、あるいは聞いたとしてもそれを意識したことがないような音まで、実に興味深い20選だと思います。
さらにこのパンフレットには各所の写真や推薦者による手書きの地図やコメントが付けられています。

そのいくつかが吉岡さんによる「市民が捉えた記憶の音風景 ’92市民推薦『ながさき・いい音の風景20選』から」と題した論文に掲載されています。(WEBで閲覧可能)
http://jglobal.jst.go.jp/public/20090422/200902187427805080


さらに1991年に同塾が発行した報告書"SOUND CITY DESIGN"もアンケートや実際に現場でサンプリングしたデータに基づいて綿密に科学的分析を行った良書で、現在でも充分に参考になります。(こちらもWEBで閲覧可能です)
長崎・サウンドデザイン塾 吉岡 宣孝 塾長 '91長崎の音報告書

SOUND CITY DESIGN サウンドデザイン塾[1].png


私はこの「いい音の風景」のいくつかを、選定されて21年経った今、訪れてみました。
残念なことに、その一部は様々な要因で変質してしまい、なかには全くその跡を留めないほどに消え去ったものもありました。
ビルが建ったことによる音場の変化、交通量の増加等によるノイズ・・・
音の風景は、目で見る風景よりはるかに脆い存在で、ちょっとした事で崩れてしまうものなのです。
最新型の路面電車車両のように、低騒音型になったためにあの耳慣れた電車独特のモーター音が聞けなくなってしまうというような、歓迎すべきだがやや寂しい事例もあります。

私は、時代とともに刻々と変化するサウンドスケープを体感してみて、サウンド・アーカイブとしての採集(録音)、さらに音が聞ける環境の保全、この2つの意味でサウンドスケープを発見し、保存することの大切さを痛感しています。

『百見は一聞に如かず(?)』
私たちが採集した長崎のサウンドスケープのうちいくつかをModalのウェブサイトで聞けるようにしました。
長崎ならではの音の数々をぜひ実際に聞いてみてください。
長崎の代表的なサウンドスケープ

現在長崎在住、もしくはかつて長崎に住んでいた、あるいは訪れたことのある皆さん、もし大好きな音、忘れられない音があればぜひ私達に教えてください。
できる限りその場所に行き、録音して皆さんにお知らせしたいと思っています。
ModalウェブサイトのContactフォームか当ブログのコメント欄からどうぞ。
posted by Modal_N at 00:03| Comment(0) | Soundscape