2014年05月30日

長崎山王神社の被爆クスノキ


長崎出身の福山雅治さんが新曲「クスノキ」の題材にし、にわかに注目を浴びている長崎市山王神社の「被爆クスノキ」をご存知でしょうか。

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山王神社というと、原爆で片方が吹き飛ばされてしまった片足鳥居が有名です。










更に階段を登った境内入口の両脇には樹齢5〜600年の2本のクスノキの巨木が門のようにそびえ立っています。

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1945年8月9日の原爆投下時、爆心地から約800mの距離にあるこのクスノキも爆風や熱線で幹をもがれ枝葉は吹き飛ばされ、すっかり焼け焦げてしまいました。

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80cmはありそうな石、これが原爆の爆風で飛ばされてクスノキの幹の中に入っていたそうです。








誰もがもう枯れてしまったと思いましたが約2年後に新芽を出し、奇跡的に復活したのです。
その生命力は復興に向かう被爆者を勇気づけ、今でも平和の象徴として親しまれています。

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長崎の人々の間でも、知る人ぞ知るといった感じの被爆クスノキですが、ここが長崎で最も有名な「音の名所」であることを知る人は更に少ないでしょう。
風を受けるとさざ波のように広がる、そよぐクスノキの葉音。
鳥や子供の遊ぶ声を優しく包み込む、ゆったりとしたさざめきは、まるでクスノキがその蘇った生命力で彼らを守っているようです。
私達のウェブサイトで実際にその音声ファイルが聴けます。
ここは、環境省の“残したい「日本の音風景百選」”にも長崎県から唯一選ばれています。
福山さんもこのサウンドスケープの中で音楽的なインスピレーションを得て曲を書いたのでしょう。
長崎にお住まいの方、長崎に行く予定のある方はぜひこの素晴らしいサウンドスケープを実際に楽しんでみてください。
ただし、隣接する保育園から音楽や歌、オルガンの伴奏などが聞こえてくるので、行くのなら休日がオススメです。

そんな被爆クスノキも、被爆による内部の空洞化に加え、枝葉が伸び過ぎたことによって倒壊する危険が出ています。現在、樹木医の治療を受けさせるため募金活動を行っています。
ぜひご協力を。
山王神社被爆くすの木募金活動についてのお願い
posted by Modal_N at 16:55| Comment(0) | Soundscape

2014年05月04日

「渡辺千尋の仕事」展

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現在、長崎県美術館では渡辺千尋さんの回顧展「渡辺千尋の仕事」が開催中です。

渡辺千尋さんは幼少期から青年期を長崎で過ごし、その後エングレーヴィングやメゾチントという手法を用いた銅版画を制作してきましたが、残念ながら2009年に急逝されてしまいました。

エングレーヴィングというのは、ビュランという小さい刃物で極細線を1本1本ひたすら彫り続けるという、考えただけで気が遠くなりそうな手法です。

先日タイピントギャラリーさんで渡辺さんのエングレーヴィング作品を間近で見せていただく機会がありましたが、ルーペで拡大してようやく髪の毛ほどの線が見えてくるほどの驚くべき精緻さに息を呑みました。


渡辺さんは多才で、銅版画制作だけでなく、本の装丁などのグラフィックデザインやノンフィクションライターとしても活躍されていました。

以前このブログでも紹介した「トンチンカン人形」の作者、久保田馨さんの再評価に心を砕かれた人でもあり、久保田さんとトンチンカン人形にまつわるドキュメンタリー「ざくろの空」という著作も残しています。

渡辺さんがまだ子供時代に偶然トンチンカン人形と出会い、それに引きつけられるように毎週おみやげ屋さんに通ったエピソードから「ざくろの空」は始まります。

その後アーチストを目指すようになった渡辺さんの作品には、知らぬ間にトンチンカン人形の造形感覚が入り込んでいたそうです。

「ざくろの空」の後半、創作に疲れ精神を病んでいく久保田さんの姿を渡辺さんは鋭い視線で見つめます。

「自虐的自愛的人形創作」と表現されている、アーティストとして向きあわなければならない、自分の中にある心の闇との対峙。

この創作の喜びと表裏一体の苦しみが、読むものを「何もそこまで」と思わせるほど冷徹でリアルに描写されています。

これは著者である渡辺さん自身も、同じ表現者として生命を削って向き合って来たものだったのでしょう。


そんな経緯もあり、今回の回顧展には、久保田さんの作ったトンチンカン人形が数体展示されています。

渡辺さんの作品の中に混在しても何の違和感もないトンチンカン人形ですが、長崎県美術館の立派な建物の中ではやや居心地悪そうに並んでいます。


「渡辺千尋の仕事」展は6/8まで長崎県美術館常設展示室で開催されてます。

ぜひ里帰りした渡辺さんの作品世界を楽しんでみてください。
posted by Modal_N at 17:36| Comment(0) | Art